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ギンタス(2011)から進化経済学を考える
『ゲーム理論による社会科学の統合』
成田悠輔・小川一仁・川越敏司訳、NTT出版、2011年7月
Herbert Gintis The Bounds of Reason: Game Theory and the Unification of the Behavioral Sciences
Hardcover: Princeton University Press 2009, Revised ed. 2014.
Paperback: Princeton University Press 2014.
批評者 塩沢由典 2015.1.25現在 .
本批評は、2012年3月17-18日、中央大学で開催された進化経済学会年大会における企画セッション「ボウルズ・ギンタスの進化社会科学とわれわれの立場」におけるわたしの趣旨説明を補足するものとして書かれた。セッションの表題にもかからず、ここで議論されているのはギンタスの日本語訳『ゲーム理論による社会科学の統合』(NTT出版、 2011 年 7 月)についての批評である。あまり時間のないなか、急いで書いたものなので、いろいろ思い違い・理解不足があると思われるが、本WEBページへの再録にあたっては、一切、修正を加えなかった。ファイルの形式もWORD文書のままとした。
ボールズに関しては、翻訳が進行中であったこと、かれの経済学の全体像について、わたし自身がまだ掴みきれなかったため、いっさい触れていない。
ボールズの『ミクロ経済学』に関する批評は、
ボールズ『制度と進化のミクロ経済学』批評
を見られたい。
以下に、趣旨説明と当日のパネリストおよび各氏の報告要旨の表題を参考までに転写しておく。報告要旨そのものは、各報告者の著作であるので掲載しない。なお、報告要旨を含む全体像は、
http://jafeeosaka.web.fc2.com/pdf/D1-1shiozawa2.pdf
に公開されている。
2015年1月27日 記す。
進化経済学会2012年大会企画セッション
「ボウルズ・ギンタスの進化社会科学とわれわれの立場」
趣旨:ギンタスの『ゲーム理論による社会科学の統合』の日本語訳が2011年7月に出版され、ボウルズの『ミクロ経済学/行動と制度、進化』も近刊が予定されている。かつてのラディカル経済学の旗手たちによる、新しい社会科学への構想である。日本語訳出版を期に、かれらの提案をわれわれとしてどう受け止めるべきかを主題に賛成・批判を含む多様な視点から討論したい。
趣旨説明 塩沢由典
パネリスト報告
川越敏司/磯谷明徳/森岡真史/橋本敬/佐藤良一/瀧澤弘和
休憩
総合討論
パネリスト全員による
司会 植村博恭
報告要旨
川越敏司 ハーバート・ギンタス『ゲーム理論による社会科学の統合』 要旨と問題提起
磯谷明徳 S・ボウルズの進化的社会科学をめぐって
森岡真史 ギンタスの合理性概念について
橋本敬 (口頭報告のみ)
佐藤良一 <資本主義を理解する>へのこだわりから
瀧澤弘和 ハーバート・ギンタスの『ゲーム理論による社会科学の統合』について
塩沢由典 趣旨説明に代えて ギンタス(2011)から進化経済学を考える
批評者 塩沢由典 2012.3.17現在 .