塩沢由典>講演>大阪経済の課題と地域の経営者に求められるもの
大阪商工会議所 住之江・住吉支部 経済講演会
2005.3.1
大阪経済の課題と地域の経営者に求められるもの
大阪市立大学創造都市研究科長 塩沢由典
0.前置き
住之江区・住吉区とは、どんな町
参加者の印象/私の印象
大きな遺産と可能性をもっている町
メッセージ:
☆ふたつのSOHOが鍵☆
☆大きなそろばんを弾こう。☆
2.経営のセンスを磨くために
経営者に要請される能力
@やりぬく体力と意思
A適切な事業構築(計画と組織)
B適切な判断力 その一部に「将来の見通し」
3.大きな時代変化
@経済政策
19世紀>自由貿易
20世紀>ケインズ経済政策
21世紀>ベンチャー振興政策
A企業像
19世紀>世紀半ば、大企業は存在しなかった。
20世紀>大企業の時代
21世紀>大企業の有利さは消滅しつつある。
ITの影響>情報通信費用が低減
SOHO型 大企業も小カンパニーの構造体に
B産業構造の大きな変化
第3次産業の肥大・分解>第4次・第5次産業へ
各国における「その他」の増大
日本の産業構造 製造業の急減
2030年には10パーセント以下に
農業の場合
モノに振り向けられる消費比率の停滞・減少
生産性が上がればあがるほど、支えられる人口は減少する。
C知的財産の比重増大と多様化
特許と知的所有権
さまざまの問題>無料コピー、コンテンツ産業の危機
オープンソースとGPL
知的財産権の制度設計
D資本主義の衰退
個人の能力が問われる時代
頭の速い秀才vs.頭の強い秀才
資本保有が主要な制約ではなくなりつつある。>VCの意義
E知識経済化の進行
大学が新産業振興の中心機関となりつつある。
大学の変化 北アメリカの場合
20世紀前半 教育大学
20世紀後半 研究大学
21世紀 起業的大学(Entrepreneurial University)
4.これからの課題
@逆転の発想
東京ではできないこと>東京は世界の美術運動の中心になれたか
100チャンネル時代のテレビ番組制作
ホームレス、失業者が多い。
=>ITリテラシー教育によるエンパワメント
関西の強み>圧倒的な文化資産
住之江・住吉にとってのヒント>>NewYorkのSOHO(South of Houston)
古い倉庫群が芸術家たちの町に>価格高騰>SOHOの危機
A社会関係資本という考え方
個別企業だけが強くなろうとしてもできない時代
Linuxも、一社ではプラットフォームを形成できないため。
研究開発における知識公開
先進地場産業を生み出せすために 関西学研都市:集積のメリットを作り出すために
技術の3段階 競争前段階 競争段階 競争後段階
ロボット産業を育てる。
需要者側の対応が産業成長速度を決める段階に
商工会議所などの政策が重要に
扇町創造村
ディジタル・クリエーターたちが活躍する場を作る。
北区の特性を活用。人々の意識を変える。
5.住之江区・住吉区の可能性>
与件:商業が不振。停滞期の工業。ベッドタウン。>通常では不利な条件。
発想を変えると
21世紀型産業にとってチャンス
土日が勝負
商店街 粉川、加賀屋、我孫子
遊びの要素、時間を費やす空間と時間を
@神話の利用と創造
安倍清明生誕の地(阿倍野区)
『陰陽師』小説:夢枕獏著、漫画:岡野玲子著、映画:野村満斎主演。
地名:清明丘、松虫(式神の名)
阪堺電車上町線から住吉へ
「帝塚山」のイメージ
A住吉大社と住之江
住吉大社 神皇皇后の創建、お祓い・航海安全・和歌の道・産業育成などのご守護、
住吉大社から住吉公園、姫松橋、住之江公園北口までを門前町に
B貯木場跡を食事公園に
水を生かして、周辺をレストラン街に
水の都×食の都
参考
☆住江・住吉の文学史☆
万葉集より
草枕旅行く君と知らませば 岸の黄土に なほはさましを 69清江娘子>長皇子に
夕さらば 潮満ち来なむ 住吉の 浅香の浦に 玉藻刈りてな 121弓削皇子
住吉(すみのえ)の得名津に立ちて見渡せば武庫の泊ゆ出づる船人 283武市連黒人
住江の岸の松原遠つ神我が大君の出で座し所 295藤原宇合
標(しめ)結ひてわが定めてし住江(すみのえ)の浜の小松は後もわが松(394余明軍)
いさな取り 浜辺を清み うちなびき おふる玉藻に 朝なぎに 千重波寄り
夕なぎに 五百重波寄る 辺つ波の いやしくしくに月に異に 日々に見るとも
今のみに 飽きたらめやも 白波の い開き廻れる 住吉の浜(931車持朝臣千年)
反歌 しら波の 千重にきよする 住よしの 岸のはにふに にほひてゆかな
白波の 千重に来寄する 住吉の 岸の黄土に ぬほひて行かな(932)
住吉の粉浜の四時美 開けも見ず 隠りてのみや 恋ひわたりなむ(997)
馬のあゆみ おしてとどめよ住の江の 岸のはにふににほひてゆかん(1020石上乙麻呂)
悔しくも満ちぬる潮か 住吉の 岸の浦廻ゆ 行かましものを(1144)
妹がため貝を拾ふと 血沼の海に ぬれにし袖は 乾せど干かず(1145)
めづらしき人を吾家に 住吉の 岸の黄土を 見むましもがも(1146)
いとまあらば ひろひに行かむ 住の江(住吉)の 岸によるてふ 恋忘れ貝(1147)
駒竝めて今日わが見つる 住吉の 岸の黄土を 萬世に見む(1148)
墨の江に行くといふ道に きのふ見し 恋忘れ貝 ことにしありけり(1149)
住吉の岸に家もが 沖に辺に 寄する白波 見つつ思はむ(1150)
大伴の三津の浜べを うちさらし 寄り来る波の 行方知らずも(1151)
楫の音ぞ ほのかにすなる 海をとめ 沖つ藻刈りに 舟出すらしも(1152)
住吉の 名児の浜べに 馬たてて 玉拾ひしく 常忘らえず(1153)
雨はふる仮蘆は作る いつの間に 阿胡の潮干に 玉は拾はむ(1154)
名児の海 朝けのなごり 今日もかも 磯の浦廻に 乱れてあらむ(1155)
住吉の遠里小野の 真榛もち すれる衣の 盛過ぎ去く(1158)
時つ風吹かまく知らず 阿胡の海の 朝明の潮に 玉藻刈りてな(1157)
住吉の沖つ白波 風吹けば 来寄する浜を 見れば浄しも(1158)
住吉の岸の松が根 うちさらし 寄り来る波の 音の清らに(1159)
難波潟潮干に立ちて 見わたせば 淡路の島に 鶴渡る見ゆ(1160)
住吉の波豆麻の公が 馬乗衣 さひづらふ 漢女をすえて 縫へる 衣ぞ(1273)
住吉の出見の濱の柴なかり 刈りそね 未通女が 赤裳のすそ裾の ぬれてゆかむ身ゆ(1274)
住吉の出見の浜の 柴な刈りそね 未通女らが 赤裳の裾のゆく見む(1274)
住吉の小田を刈らす子 奴かも 無き奴あれど 妹が御為に 私田刈る(1275)
住吉の浅沢小野の かきつばた 衣にすりつけ 著む日知らずも(1361)
住吉の岸を田に墾(は)り 蒔きし稲の しかも刈るまで あはぬ君かも(2244人麿)
住吉の津守網引の 泛子の緒の 浮れか行かむ 恋ひつつあらずは(2646)
難波人葦火焚く屋の 煤してあれど おのが妻こそ 常めづらしき(2651)
往きて見て 来れば恋しき 朝香潟 山越しに置きて 宿ねかてぬかも(2698)
住吉の岸の浦廻に 重く波の しくしく妹を 見むよしもがも(2735)
住吉の浜によるとふ うつせ貝 実なき言以ち 吾恋ひめやも(2797)
押照る 難波菅笠 置き古し 後は誰が著む 笠ならなくに(2819)
住吉の敷津の浦の 名告藻の 名は告りてしを 逢わなくもあやし(3076)
住吉の岸野の榛に染ふれど 染はぬ我やにほひてをらむ(3801)
住吉の小集楽に出でてうつつにも おの妻すらを鏡と見つも(3808)
>>長歌4408省略
住吉の浜松が根の下延へて 見る小野の草な刈りそな(4457大伴家持)
古今集より
住江の岸に寄る波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ(藤原敏行・古今集559、百人一首にも)
その他勅撰集
春深き色にもあるかな 住江の底も緑に見ゆる浜松(後撰集111)
土佐日記
住吉の松
能
]
「高砂」 高砂の松と住江の松が相生、「早住の江に着きにけり」
俳句
升買て分別かはる月見かな(芭蕉) 宝の市、枡の市>>住吉大社楽市
矢数俳諧興行
井原西鶴(1684年6月5日、住吉神社にて一人で2万3千5百句を詠んだ)
建築
住吉大社 住吉造り
住吉の長屋 安藤忠雄の出世作、1979年度日本建築学会賞受賞作品。
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