塩沢由典>講演>日本学術会議・公開シンポジウム
危機管理における社会科学の役割
稀な異常事態にいかに備えるか
2006.12.14 塩沢由典
0.まえおき
○シンポジウムのテーマ>>「人文社会科学の役割と責任を問う」
研究者としてどう対応するか。
学術会議としてどう取り組むのか。>>学術政策的な考察も
○キーワードは「社会技術」
二つの意味
@社会技術研究開発センター A社会科学の対象としている技術
○第2の意味での社会技術
貨幣、取引所、商法、株式会社、会計、etc.
補助線:稀な異常時に備える社会技術
1.阪神淡路大震災の教訓 1995年1月17日(火) 5時46分
○被害の概要
災害規模 グニチュード7.3 多数地域で震度7
死者 6,433人 負傷(重傷)10,683人
住居 全壊104,906棟 186,175世帯 全壊・半壊・一部破損計 512,882棟
Life Line 水道断水130万世帯 ガス供給停止86万世帯 電気260万世帯 電話不通30万回線
○私にとっての教訓
工学系学会の取組を見習うべきだ。
非常に重要な社会技術がある。
既存のものに限らず、必要なものを開発すべきた。
○病院での治療体制
災害時の病院 どうすべきか 教訓を大切に
○災害支援のあり方
救援物資はいらない。お金を送ってください。
○教訓情報の生かし方
教訓資料集
カードゲーム「クロスロード」
心理学/ゲーミング・シミュレーション学
2.JR福知山線脱線事故の教訓 2005年4月25日午前9時18分ごろ
○事故
人的被害 失われた人命(107名)、負傷(555名)・心の傷多数
鉄道会社にも大きな損失
金銭的損失 100億円以上? 会社への信頼喪失 経営姿勢を問われた。
○経営観点から事故を見直すと
性悪説ではなく>>より正しい経営はありえたか
ATCの設置の遅れ>>投資判断ミス>>なぜミスは起こったか。
事故の予兆(事故の芽)を的確に
ハインリツヒの法則 これを生かす仕組みが必要だった。
Zero Defectは日本の強いところ。これを生かせなかった。
企業文化の改革>>経営トップの責任
3.新型シンフルエンザH5N1型
○鳥インフルエンザから進化
世界的pandemicとなる可能性が高い。
現在は、鳥>鳥、鳥>人の段階。人>人となると一挙に危険増大。
予想される被害
受診者数2500万人 入院患者数200万人 死亡者64万人 一日入院患者数10万1千人
○現在の認識と対応
新型インフルエンザ対策検討小委員会 2004年
出現を阻止することは困難 完全な封じ込めも困難
タミフル頼みは危険
パンデミック時の社会的対応策
医療体制 医療以外の社会機能の維持
パンデミツク終了後の対策
生命保険と健康保険>>考え方を変えるべきだ。
4.まとめ
○役割
人文社会科学が対象とする社会技術がある。
政策より広い範囲の課題がある。
○責任/これからの問題
新しい領域の開発に自覚的に取り組もう。
社会実験的研究方法も考慮すべきだ。
課題に取り組む中で分かってくる知見を重視しよう。
もどる
トップ・ページ
講演一覧
ページ・トップ