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創造都市へ 扇町創造村構想について
2005.2.3 大阪市北区地域活性化協議会・財団法人大阪市北区商業活性化協会新年互礼会・講演
『c.a.a.k』2005年
h2005新年互例会 新春講演会から
創造都市へ〜扇町創造村構想について
大阪市立大学大学院創造都市研究科長
塩沢 由典さん
はじめに
最初に、お礼を申しあげておきたいと思います。「大阪市立大学大学院 創造都市研究科」は2年前にできた新しい研究科です。目的を社会人教育に限っていて、社会人大学院と通称されています。この大学院が大阪駅前第2ビルに入っているのですが、これにはこちらの協議会のお声やお力添えがあった。こんな立地にめぐまれた所に開設できたことを本当に感謝しております。さきほど板垣副理事長から、教員や学生の利用で地下街が少し潤っているというお話がありました。しかしそういう面だけではなく、大学本来の役割でこの地元北区にもっと貢献できなきゃいけないんじゃないか…。今日の話は、その話のひとつとして聞いていただければ、ありがたいと思っております。
話の大筋
まず、「21世紀は何で食べていくか」というちょっと迂遠な話からはじめさせていただきますが、これは北区の今後を考えるにあたって、非常に重要なことではないかと思っております。次に北区の特性ですが、非常に面白いまちだと思っています。ただ残念ながら、その潜在力を充分活かしきってないのではないか?という気がします。そこでそのために何かできないかと考え、「扇町創造村」という提案をさしていただきたいと思っています。扇町という名前がついていますが、中之島を除く北区全体の話だとお考えください。最後に、今どんなことをやったらいいのか、ということもお話させていただきます。
1.21世紀、何で食べていくか
大きく変わる社会経済構造
21世紀、何で食べていくのか、どういう仕事について、どんな生きがいをもって暮らしていくのか。それを考えるには、北区を含めた日本全体の産業構造がどう変わっていくのか、ということを考えていかなければならないと思います。社会が大きく変わっていくとき、その中にいる人はその実感を持ちにくいものです。例えば19世紀から20世紀になった頃、まだほとんどの人々は20世紀を支配する大企業体制というものに気づいていなかった。アメリカでも、19世紀には300人を超える企業は150社しかなかったんですね。300人ですよ!?3000人じゃない。大企業というのはほとんど存在していなかった。それが20世紀の中頃には、フォーチュン500に載っているような企業がアメリカの生産においても資産においても45%を占める、そういった時代になった。
しかし21世紀がこの延長線上にあると考えたら間違いです。まず、情報機器がどんどん出てくることによって、大企業であることの利点が非常に希薄になってくる。小さな企業が活躍できる状況が生まれてきています。それから、資本主義の衰退もあります。これまではお金さえ持っていれば大きな企業を作れる時代でしたが、今は少し状況が変わってきました。いい事業プランがあれば、ベンチャーキャピタルから投資をうけて新しい仕事ができる時代になった。資本を持っているだけでは大きく儲けることはできなくて、むしろ個人の力・能力がものをいう時代になってきています。
先進国の状況
経済の活性化の話になると、今はまだ製造業=ものづくりが大切だという人が多い。確かにそれも大切ですが、しかしものづくりだけでは、経済政策として大きな限界があるということを言わなきゃいけないと思います。とくに最近はBRICS(=ブラジル、ロシア、インド、中国)といわれる国々が、どんどん先進国を追い上げてきている。普通の商品だと、もう日本やアメリカ、ヨーロッパなどは、彼らになかなか対抗できない状況に近づいているわけです。
工業以外のなにで食べていくか
そうしますと、製造業(第2次産業)以外で食べるということを考えなければならない。第1次産業は3%をきっている状況ですから、当然第3次産業がどれだけ伸びていくかということになりますね。
その第3次産業ですが、今はもうこれをひと言では一活できません。従来第3次産業といわれた金融や公務から、研究開発やコンテンツ産業など知識を中心にした第4次産業、ファッションや芸術など感性に訴えるような第5次産業、といったようにどんどん第3次産業は肥大化し分化していく…。言い換えればそういうことで食べていく人たちが多くならなければ、この社会は停滞していってしまうだろうと思います。見かたを少し変えますと「時間充実産業」といってもいいかもしれません。そういう目でみると、食とか、観光とか、エンターテイメントとかは非常に重要ですね。「買い物」も、モノを買うよりも、買い物自身を楽しむという側面から見ると、時間充実産業のひとつだといえます。
表1をご覧ください。これは実際の数字ですが、合衆国、日本、ドイツ、フランスでは、「その他経済活動」が就業人口全体の50%前後を占めています。つまり第3次産業のなかのさらに小さい項目である「その他経済活動」というものが半分を占めてしまう。こういう時代に一体北区の将来をどのように考えたらいいのか…という問題だろうと思います。
(表1←スライド8)
新しい経済政策が必要
マズローという人が、人間の欲求というのはだんだんと高い段階に上っていくものだと言っています。最初はとにかく生きているのが精一杯の生理的な存在の欲求。その次は安全を確保する、親しむ、自我を確立する、そして最後が自己実現。つまり、より深い欲求に応えられる産業がどんどん求められてくる。それが、先程の言葉でいえば「時間充実産業」といったものかな、と思っています。
そういうものを育てていくためには、実は経済政策といっても文化政策が非常に重要になってくる。「健康な人が人生を楽しむための産業」を視野にどうまちづくりをしていくか、ということを考えていかなければいけないわけです。
2.北区の特性
産業上の特性
ちょっとややこしい前提を置かしていただきましたが、そういうことを考えてた上で、北区はどういう特長を持っているのか。産業構造などのお話をしたいと思います。
今からご紹介するデータは「YAHOO電話帳」で調べたものですが、大きな傾向はつかめるかと思います。たとえば、グラフィックというもので大阪全市のうち北区の占める割合を見ますと、グラフィックデザイン24%、その他デザイン22%。また絵画関係でも、絵画商27%、画廊35%というたいへんなシェアを持っています。さらにクリエータ・芸術家にとってお金の入ってくる先である広告関係では、広告代理店が40%、広告制作35%、さらに商業写真、印刷などでも非常に高い数字です。それからちょっと驚くことなんですけど、新聞社が49%。まあ、ほとんどの新聞社が北区にあるというのはよく分かるんですけれども、161社もあるのにはちょっと驚きました。別に新聞社があっても仕方がない…と思わないで下さい。上手く情報をのせれば全国に伝えてもらえる…北区はそのルートを持っている。これまではそれを活かしてこなかったのかな、と思っています。
さらに映像コンテンツ関係、これは21世紀の産業として非常に重視されているものです。東京や横浜と比べますと大阪はまだまだ弱いのですが、大阪市のなかでは、北区は圧倒的な強みを持っています。テレビ番組企画・製作が3分の2、映画制作、配給も3分の2、映像ソフトも40%です。
総じて芸術関連業における北区のシェアは非常に高いといえると思います。
北区の特色:知的活動の町
もうひとつ、この北区の特長として、非常に面白い知的活動が行われているということも紹介しておきたいと思います。
『天満人』
1500円くらいのどちらかといえばおじさん向けの雑誌ですけど、1万部以上売っているというんです。非常に狭い範囲の話題を対象にして1万部売れている。そういう読者層がいるということがすごいと思います。
「扇町Talkin‘About」
これは、元扇町ミュージアムスクエア(OMS)の支配人をやっておられた山納洋さんという方がはじめられた活動です。OMSは大阪ガスの建物でしたが、いずれは老朽化して取り壊されると先を見越して、前もって建物の外にいろんな活動を広げようと考えられた。この「扇町Talkin‘About」の活動のなかで私が何度か参加して「これ、すごいな」と思っているのが現在開催90回を越えている「実験哲学カフェ」です。哲学カフェはもともとフランスのマルク・ソテーという哲学者がヨーロッパで流行させたものです。毎日曜日にカフェに集まって、最盛期には100人以上の人たちがマイクを取り合って哲学を論議したといわれていますが、そういう運動が日本で定期的に行われているのは実は大阪だけなんです。ですから私は、正真正銘ここは日本で最も哲学的なまちだといっていいんじゃないかと思っています。大阪っていうとなんだか文学とか学術とかから離れたイメージが外から作られてしまっていますね。でも実際にはこの哲学カフェのようなことがある。こういう面をどんどん主張していかなければいけないんじゃないかと思います。
(スライド29)
音楽のまち
それから、音楽の拠点もいろいろあります。大阪ブルーノートや劇団四季だけではなく、地元でやっている活動がユニークなんです。例えば帝国ホテルがたまたまやったイベントは、ジャズだけで2日間に1200人を集めた。それから、帝国ホテルの近くにOAPがありますが、そこなどを中心に108組の演奏が行われた「天満音楽祭」も素晴らしいイベントです。
(スライド24)
活動を支える拠点
それから北区には、こういう芸術的な活動を支える拠点がたくさんある。そのへんも面白いところです。例えば中崎町の「サロンドアマンド」。古い民家を改造していろんなことをされています。さらに「コモンカフェ」も昨年の4月にオープンしました。これも「扇町Talkin‘About」と同じく山納さんがはじめられたもので、やはり中崎町にあります。それからもう少し南の方に「雲州堂」という、もとそろばんやさんの倉庫を改造してつくった、しゃれたイベントスペースがあります。
もうひとつ、「デジタルときわ荘」という新しい動きもあります。これは今現在建物があるわけではないのですが、実際に作品募集などに動き出しています。コンピューターグラフィックのクリエータをサポートする、コンテンツビジネスに関わる企業のビジネスチャンス拡大などをめざす、そんなプロジェクトです。ここの成功事例なのですが、パーソナルコンピューターを使ってたったひとりで作ったCGアニメ「ほしのこえ」というのが7億円以上の売上をあげてヒットしているんですね。残念ながらこの監督は大阪に住んでいる方ではありませんが、こういうクリエータが、北区は面白いから住んでみたい、というまちにできたらすごいなと思っているんです。
(スライド36、37、38)
3.提案:扇町創造村構想
名称と地域
そこで、今日の本論「扇町創造村構想」についてお話したいと思います。一体、何をやろうとしているのか、何のためにか、どういうことをして、何が期待できるのか…。
まず名称については「扇町芸術村」とか「天満組創造村」とか、いろんな名前が考えられます。中之島を除く北区全域というのは、昔「天満組」と呼ばれていたそうですから、天満組○○○でも良いのですが、「扇町」ならどこの商店街にも属さないし、こんな名前が代表としていいかなと思っているわけです。
そして地域としては、天神橋・天満・梅田etcと北区のまちほとんどが入っています。地図を見ていただければわかる通り、北ヤードも入っています、中津も入っています。とくに大川沿いが、今後面白いかなと思っています。
(スライド55)
目的と方法
で、何がやりたいのか。簡単にいえばもっと面白いまちにしよう!ということです。芸術家・クリエータ・編集者・俳優などが集まってきて、21世紀型の産業の基盤を作り出す、この地をそういう創造活動のあふれるまちにしたい。
そのためには、彼らが活躍できるチャンス、つまりこの人たちの仕事があることが一番重要になります。それが新しい人の発掘にもつながりますし、そういうことがどんどんできるまちだということになれば全国から、あるいは韓国や中国から「大阪に行って活躍したい」と思う人たちがやってくる。ニューヨークに行って…、ロンドンに行って…という日本の若者は多いですが、なかなか「大阪に行って活躍したい」という人はいない。彼らに活躍の機会を提供できるまちになり、全国から若い創造者たちが集まるまち・住みたい街にできたら素晴らしいと思います。
どう具体化するか
それをどう具体化していくのか。先程お話したようにすでにこの地域にはいろんな蓄積があるし、自然発生的な動きもある。それに適切な名前を与えること、そして「ここは素晴らしいところなんだ」と再認識をすることが一番必要じゃないかと思っています。それをするための人々のネットワークを作る。そうするとみんなの自己認識が変わり、共通の運動がそこで生まれてくるのではないかと思います。
先端の傾向を生み出す
目指すところは、東京の後追いとか、二番煎じではありません。世界に通用するには、やっぱり大阪独自の、つまり先端を創りだすことを狙わなければならないと思います。
大阪を21世紀型の産業に転換させる原動力となるまちになる。そのために芸術や創造活動によって生きられる人を増やし、ある種のメッカとしての地位と注目度を作り出す。そしてその情報を日本や世界に発信する。それがこの地の第4次産業、第5次産業を育むことにもなるだろうと思います。
期待される効果
インキュベータという概念がありますね。例えばクリエータを育てるインキュベーション施設「メビック扇町」が旧水道局庁舎に入っています。この場合は建物がインキュベータなわけですが、「扇町創造村構想」は、地域全体が新しい産業(第4次産業、第5次産業)を育てるインキュベータになることを目指しています。「先端的な芸術活動が常に行われているまち」ということになれば、大阪全市のイメージが変えることになると思います。そうして世界の芸術運動のひとつの中心となる…。
非常に迂遠な目標をたてていると思われるかもしれませんが、ここまで目指さないと、本格的にはならないと思っています。
先端はいかにして生まれるのか
先程から「先端」という言葉が何度も出ていますが、先端というのは先端技術だけではないんですね。文化的なものの方がより先端的なものを必要としていると思います。大阪天満宮があることは非常にいいことで、そういう文化の厚みがあることが重要ですが、そういった伝統的なものに加えて先端的なものがなくてはいけない。
そのために必要なのが、情報回路の設計です。今大阪で情報発信といいますと東京に情報を届けて、なんとか全国に流して欲しいと考えます。これでは先端的なものを育てることはできません。なぜかというと、情報が東京の価値によって拾われるからです。このやり方では東京の先端をつくることはできても、大阪の先端をつくることはできない。そうではなくて、この地域にあるマスコミがこの地域の傾向をウォッチして、こんな動きがあると知らせる。それにみんなが反応することによって、クリエータがさらに新しいものを追求する。そのサイクルが新しい先端をつくるんですね。
先程もお話したように、北区にはその道具が全部揃っている。例えば毎日放送、関西テレビ、FM802など放送局がたくさんあるし、それから読売新聞、産経新聞、毎日新聞、朝日新聞もあります。さらに創造都市研究科があり、宝塚造形大学のサテライトキャンパスや、デジタルハリウッドという映像関連の専門学校…etc。このように知的創造性が高く、意味付けをしてそれを人々に伝える装置が既に揃っているわけですから、上手く連携してチームを組んでいけば、いままで思ったことが無いような素晴らしいことが実現できるのではないか、と思います。
(スライド61)
4.いま、なにをすべきか
ネットワークを作りだそう
では一体何をやるんだ、ということになってきますので、いくつか提案をさせていただきたいと思います。
まず扇町創造村で主役になるアーティスト、アートディレクター、デザイナー、ミュージシャン、映像作家、俳優…こういう人々がお互いの交流を深める場を作る。業種を超えてのつながりは、残念ながらこの北区ではまだまだ少ないんです。これに関連業界団体とか、Mebic扇町のようなインキュベータ、それからシンクタンク、専門学校、大学、大学院、マスメディア、協力者、協力店が加わってネットワークを作りだすことができないかと考えています。もちろん、公的機関や経済団体にもバックアップしていただければありがたい。
大学/大学院を活用しよう
「産学連携」など、最近は大学利用ということが盛んにいわれますが、その中身となると技術をどう商品化するか、という技術系に偏っています。しかし実は大学の利用法はそういう技術シーズに限らない。文科系・芸術系の大学こそが、実は21世紀型の産業を育てるキーなんじゃないかと私は思います。これは地域、つまり大学を使う側も、大学の中にいる学生・教員自身も意識を変えなきゃいけないところじゃないかと思います。ここにいらっしゃる方々には「創造都市研究科」を上手く利用していただきたい。我々自身もお役に立てれば幸いだと考えています。
「創造都市研究科」の一番の目標は、関西の活性化を担うリーダーを輩出することです。教育の方面では、2年間やってきまして卒業生も出てきています。しかし研究の方はまだまだこれから。今後は研究も大いに充実させていかなければと思っています。そして都心にある社会人大学院として社会実験型の新しい学問創造方式を開拓したいと考えています。これは社会の持っているいろんな課題や問題に我々自身が参加し、その解決に取り組むなかで得た新しい知識を学問創造に活かすということです。ご提案させていただいている「扇町創造村」も、研究科の立場からいうと、重点研究「創造都市を創造する」の研究プランのひとつということになるわけです。
小学校の跡地を利用しよう
地域全体をインキュベータとして育てようという時に、上手く使えば可能性がある大きな資産が小学校跡じゃないなと思います。日本にはすでに芸術運動の拠点として注目されている元小学校があります。北区にも北天満小学校と済美小学校は廃校になってそのまま残っています。元東梅田小学校は梅田東学習ルームという形で使われていますが、もっと使い道がありそうです。
京都:明倫小学校
京都の明倫小学校は京都芸術センターとして2000年4月にオープンしています。こういうものの最初の例なんですが、非常に高い評価を得ています。元々この小学校は地域の方々の寄付で作らており、建物も非常に価値のあるもので、その建物を活かしながら動態的に使いたい、地域にも市全体にも、また教育にも役立つ形にしたい、ということでこういう形にしてるんですね。
(スライド67)
大阪:精華小学校
大阪でも精華小学校が精華小劇場に生まれ変わっています。これは去年の10月オープンしたばっかりで、これから実績を出すという段階です。
(スライド68)
東京:淀橋第三小学校
東京では新宿区の淀橋第三小学校に「芸能花伝舎」ができています。これは行政がどうこうするのではなく、日本芸能実演家団体協議会という67団体で構成される組織が、稽古や研修に利用できる素子区が欲しいということで、使用期間を限って、協議会が区から年3900万円で借りるという形で実現しています。
北区の東梅田小学校、北天満小学校、済美小学校もこのように上手く利用できればいいんじゃないかと思います。ただそのためにはですね。いい知恵を出さなければならない。「企画」が大切です。二番煎じの企画では、市の応援も得られない。
例えば、創造都市研究科の学生さんの一人が「音の図書館」を作りたいという夢を持っています。小学校ひとつぶんを全部埋めてしまうくらい、スペースが欲しいんだと言っています。昔のレコード、皆さんもうかけられませんよね。家にももうプレーヤーがなくなっちゃったでしょう?でもあの中には今聞けない音がいっぱいあるはずです。それを全部集めて聞けるようにしたら、そこでしか聞けないわけですから、全国から人を集めることができますね。他にはない面白いアイデアだと思います。
このようにプランをいろいろ練って、小学校の跡地は3つも4つもあるわけですから、是非みなさんの知恵で実現して欲しい。みなさんの声で市を動かしていただければありがたいなと思います。ただ、作ったあとは自前で運営できなきゃいけない。今は公立の美術館や博物館も採算を求められる時代です。だからちゃんと、運営費が出せる仕組みのプランが欲しいなと思います。つまり知恵と経営力を求められているわけですね。その知恵をもっと出せ、ということでしたら創造都市研究科に是非お声をかけてください!
北区のナイト・ライフ
次に「夜の北区」という話に移ります。落語の常設小屋「天満天神繁昌亭」には大いに期待が集まるところですが、やはり舞台がはねた後にはゆっくり食事をして、「今日の落語どうだった」と話ができる雰囲気が欲しいですよね。だから夜の食事ができる店が必要になるかと思いますが、今は夜9時ごろまでは食事できても、その後はなかなか難しい。しかし読売新聞ですとか毎日放送だとか、夜遅くまで仕事をしている場所の周辺には、結構遅くまでやっているレストランがあります。そういうところとうまくつなげるとか、そういう形で集積のメリットを活かすという形もあるのではないでしょうか。
大川沿いのレストラン街
さらにもうひとつ、是非お考えいただいたらいいと思うのが、大川沿いにレストラン街をつくれないか、ということです。今安藤忠雄先生を中心にした「桜の会・平成の通り抜け実行委員会」が、大川沿いを今よりもっと厚みのある桜の通りにしようと桜1000本計画に取り組んでおられますが、やはり大川は北区の貴重な資産です。最近は水面もとってもきれいですね。しかし残念ながら、近くにこの水面を見られるレストランがない。高いところからなら3軒くらいありますが、やはり水面って近くから見るときれいさが違うんです。そういうレストランを是非実現したい。これは構造改革特区を利用すれば、市の管理地にできるんじゃないかと思います。大阪って食の都と言われていますが、景色と食を合わせるということは港区にはあっても市の中心部ではなかなか難しい。でも、この大川沿いなら可能です。お客さんが来たときに誇りを持って連れていけて、景色を楽しみ、食を楽しみ、会話を楽しめる、そういう場がここにできれば素晴らしいなと思っています。
(スライド73)
おわりに
ここまでお話してきましたことは、私が言っているだけではなんの意味もありません。皆さんにご協力いただいて、ぜひ「扇町創造村」を実現の方向に進めていただければありがたいと思います。これからも皆さん協力して北区を盛り上げていきましょう!どうもありがとうございました。
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