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企業・産業の進化研究会
「進化」という概念について
2009.7.22 塩沢由典
(1)なぜ「進化」について議論するのか
1-1. 進化経済学会/現状の認識
・進化経済学会 >> 進化の視点を方法とする。
・「進化」について、辞書的意味以上の深まり・共通理解がない。
・この研究会においても、はやめに議論する意味があるか。
1-2. 『進化経済学ハンドブック』の編集過程
・「進化」をどうとらえるか >>編集委員会内部で議論
・「保持」か「複製」か
・あとぢえ 「進化」を中心とする概念体系の創造・選択
1-3. 7つの主要カテゴリー
・商品 ・技術 ・行動 ・制度 / ・組織 ・システム ・知識
・「複製」>> 最初の4つ
・「保持」>> 最後の3つも
(2)保持・変異・選択か複製・変異・選択か
・進化経済学の一般的理解
>> 複製・変異・選択
・『ハンドブック』のたちば
>> 保持・変異・選択+複製
・この定義採用の直接的動機
>>清水耕一:「組織」「企業」が入らない。
☆保持・変異・選択という3つ組み
野中郁次郎 1985『企業進化論』日本経済新聞社。
藤本隆宏 1997『生産システムの進化論』有斐閣。
藤本隆宏 2000「実証分析の方法」進化経済学会・塩沢由典編『方法としての進化』シュプリンフェアラーク東京、第2章。
H.E. Aldrich 2007『組織進化論/企業のライフサイクルを探る』東洋経済新報社。
☆ちなみにNeslon & Winter(1982, 日訳2007)では?
キーワードは「ルーティーン」。再現、複製。
☆起源は D. Campbell 1965 "Variation and selctive retention in socio-cultural evolution" ?? (進化論的認識論の祖)
(3)神学論争では
3-1. Research Programの問題
神学論争ではない。形而上学でもない。
3-2. われわれの視野・議題
・保持と選択>> 藤本隆宏(1997、2000) :
「機能論と発生論の分離」「緩やかな淘汰」「不器用な適応」
「事後的な選択」「意図せざる結果」
3-3. 進化ゲームという方法の限界
・複製と選択 >> では飛んでしまうものがある?
・進化ゲーム >> 複製子と複製 >> 複製率/増殖率
・理論はなにができるか、目指すか
・「できること」と「できないこと」
見通しをつけた上で使う。
3-4. 新しい方法はなにか
・理論家の役割 >> 方法の開発
・実証にヒントを与えるものであるか。
(4)批判という視点
4-1. 進化視点を批判的に生かす
駄洒落>> positive analysis に対して negative analysis
4-2. マクロ経済学のミクロ的基礎付け
・Real Business Cycle 理論
「全要素生産性は技術進歩を表現する」という視点の一人歩き
・Endogenous Growth Theory
ライバル財、非ライバル財などの区別/考察はあるが、個別技術に届いていない?
(5)教育のたちば
5-1. 進化(保持・変異・選択)の視点での分析
なかなか会得してくれない。
5-2. 優れた分析例の蓄積
・強い事例(strong case)
Stiglitsでも、強い事例は一つ? >> 刈り分け小作制度
・トヨタの事例(藤本隆宏)
事後的な発見 >> 重量級のPM、図面貸し、多工程持ち
・ほかには?
5-3. 中央大学商学部・進化経済学1のレポート
・「変異」については、よく追いかけられる。(ニトリ>>SPA 取引費用の観点から)
・「保持」は苦労。分析できていない。(ユニクロ>>柳井正vs玉塚元一>>後継者問題)
・組織内普及&定着
5-4. 『ハンドブック』第2版
・事例編の全面改訂
・準備として単行本の編集も
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