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『マルクスの遺産』への感想


田中求之氏

田中求之氏

「田中求之的日々の雑感」より
日記風のサイトですので、消される前に採録しました。

02年04月28日 23時16分

一日、ダラダラと過ごす。『ハイデガー=存在神秘の哲学』を読み上げ、『m2 われ われの時代に』(宮台真司・宮崎哲弥)を読む。m2 の方は、思っていたよりは面白 くなかった。

その後、塩沢の『マルクスの遺産』にとりかかる。

自分はマルクス主義者ではないし、マルクスに「かぶれた」とも思わないが、それで も、学生時代にマルクスの著作を読んだこと(大学に入って『経済学批判』を大月文 庫で読んだときに、面白くてわくわくしたのを今でも憶えている)、また大学院入試 の勉強ということで『資本論』をノートを取りながら読んだり、教科書的なマルクス 経済学を勉強した(なんせ、菱山先生のスラッファの経済原論は単位を落とした) ことは、自分にとってやはり大きな体験だったことは否定しない。まぁ、陸奥A子の ノート(「りぼん」の付録)に資本論の書き抜きを作っていくなんてのは、ちょっと 変かもしれないけれど。塩沢が言うように、再生産という観点でシステムを分析する 視点、そして、資本主義というシステムのとてつもない巧妙さなど、マルクスのもっ ている「可能性」自体は、自分のどこかに染みついている。ロンドンに行った際には、 ミーハーだと思いつつも、しっかりマルクスの墓参りもしたしね。また、『資本論』 は、いつかは、もう一度、真剣に向き合いたいと思っている。そういう意味では、 自分にとっては、マルクスは全然終わっていない。確かに、経営学というのは、 マルクス主義者にとっては唾棄すべき資本の手先の学問でしかないのかもしれない。 飯野先生が、マルクス主義の人にいかに経営学をバカにされたか、そうした人たち 相手に経営学に学としての体系があることを示すのにどれだけ戦わなければならな かったのか、ひょうひょうと、だがしみじみと、黒姫の別荘にうかがった際に語って いたのを思いだす。自分としては、経営学は経営術ではないし、組織なりコミュニ ケーションなりが存立しうること自体の「驚き」を解き明かすという点で、マルク スの資本主義への姿勢と大きな違いはないと、密かに思っていたりはするのだが。

そんな、色々なことが過りながら、読み始めた。

02年05月02日 01時14分

塩沢の『マルクスの遺産』は、やはり刺激的な本だ。イデオロギー論(アルチュセー ルにグラムシのヘゲモニー論を接合した感じ)など、よく書けていると思う。ただ、 色々と気を配りすぎて少し散漫な感じもする。





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