日本経済新聞2001年(平成13年)3月22日全国版夕刊5面
「批評家の集まりではなく、ベンチャー支援の運動体を目指す。」関西ベンチャー学会を2月に設立し、初代会長に就任した塩沢由典・大阪市立大学経済学部教授(57)は意気込む。地盤沈下が言われて久しい関西経済だが、「約二千万の人口を抱え、先端技術の研究に取り組んでいる大学や企業の研究所は多い。ベンチャー企業輩出による関西経済活性化は十分可能」と悲観論をいっしゅうする。
1997年に設立した日本ベンチャー学会との違いは、ベンチャー企業の経営者や地方自治体のベンチャー支援担当者など学者以外の人が参加していることだ[*]。270人の会員のうち約7割が学者以外。ベンチャー企業の研究よりも「現実に即したベンチャー支援の提言が学会の目的」。日本ベンチャー学会の関西支部ではなく、あえて独立の組織にしたのは「関西経済の活性化に貢献したい」との思いがあったからだ。
具体的な活動は分科会での議論が中心になる。今後、自治体の支援策のあり方や学生ベンチャー、起業家教育などをテーマにした分科会を開設する予定。「分科会がベンチャーに関心を持つ人たちの自由な意見交換の場になってほしい」と語る。
長野県出身で関西に住み始めたのは大学に入学してから。「企業にとって関西の消費者は日本で最も厳しい。関西で成功すれば全国で成功できる」と関西以外の出身らしい分析をする。休日には大阪市内を流れる淀川沿いでサイクリングを楽しむ。「関西は首都圏より自然が身近に感じられる」と関西びいきがすっかり板についた。
[HP編集者注]
この文の指摘は、正確でない。日本ベンチャー学会でも、ベンチャー企業の経営者や地方自治体のベンチャー支援担当者など学者以外の人が多数参加している。